榊原郁恵の「歌唱力」を分析する

〜こだわり about 郁恵 (1) 第一付録 「歌唱力分析チャート」によると〜

  えっ、榊原郁恵に歌唱力なんてあるの? という疑問を抱いた方、 あなたこそ、ぜひここに目を通して欲しいのです。 やがて、「歌謡歌手診断士の部屋」のもうひとつの軸、「『歌唱力』の構造」でも明らかにしますが、 榊原郁恵は立派に「歌唱力のある」歌手なのです。 私・歌謡歌手診断士が独自に考案した 「歌唱力分析チャート」に基づく、 榊原郁恵の『歌唱力』分析をどうぞ。(以下、原則として敬称略) ご覧になって、ご意見、ご感想、これだけは言いたい! などございましたら、 「コンテンツ・スペース」掲示板へ、 書き込んでください。

歌唱力分析チャートfor 榊原郁恵
大分類 番号 小分類 榊原郁恵にフォーカスして解説
基礎 (なし) 音感 「絶対音感」が彼女にあるかどうかは知りませんが、 歌謡曲の歌唱に関しては、まったく問題ありませんね。
声域 ミュージカル『ピーター★パン』で、彼女が発揮した才能に、 「声域3オクターブ」(もっと広いかも)というのがあるんですね。 もちろん、ファルセット(裏声)の部分を含めてではあるのですが、 決して狭くはないと思うのです。
声量 彼女が、某バラエティー番組でやっていた「私バカよね おバカさんよね ゲーム」。 何のことはない、細川たかしの大ヒット曲「心のこり」の出だしのこのフレーズを歌い、 最後の「ね」の音を息を切らせずにどこまで引っ張れるか、というもの。 でも、これに関して彼女は敵なし。 私が見たのは、城之内早苗(あのおニャン子出身の演歌歌手ね)との対戦だったんだけど、 城之内早苗が二十数秒(これでも大したものです)でギブアップしたのに対し、 榊原郁恵は四十秒以上も引っ張りつづけ、まわりをあきれさせたのでした。 問題は、彼女の声量を生かせる曲が作りにくい、ということのようです。
発声 ミュージカル『ピーター★パン』で、 今は亡き内藤法美先生(=故・越路吹雪さんのダンナ)に鍛えられ、 彼の太鼓判が押された発声については、もはや文句なし。
発音 これについても内藤法美先生が、 「彼女は演劇志望だったから、まず歌詞の意味をきちんと考える」 とおっしゃっている通り、本人のこだわりの部分であり、 まったく問題なし。
基盤 (1) 声質 ×「歌手・榊原郁恵」最大のウイークポイント。
かつての「クイズ ドレミファドン!」の毎週のチャンピオンが、 海外旅行をかけて挑戦する「声当てクイズ」。 たいていは歌手のアルバムから、 他人の曲を歌っているところを聞かせて、歌手名を当てるのだが、 榊原郁恵のライブ・アルバム(一応3枚出てます)からの出題で、当てられたためしがない。 また、ものまねも非常にされにくい。 まともに榊原郁恵のものまねをしたのは、松本明子ぐらいだろうか。 こんなところからも、 彼女の声質が「すぐに榊原郁恵とわかる」質のものではないことは明らかであろう。 ちなみに、彼女の声域を三つ(低音部、中音部、高音部)に分け、 それぞれの声質を細かく分析すると、以下の通りとなる。
  • 低音部 : どちらかといえば男性的な「太い」声。 ナレーションさせるとわかるが、全然キャピキャピ感のない、落ち着いた声です。
  • 中音部 : まったく特徴なし。強いて言えば、ちょっと鼻にかかることぐらいか。
  • 高音部 : 低音部とは逆に、非常に透明感の高い、きれいで女性的な声。
(2) 声の伸び・張り 4年目あたりから、どんどんこの辺の能力が高まっていきました。 めったに歌う機会のない彼女ですが、たいていの曲は余裕をもってこなせます。 その努力はさすが。
表現力 (3) 客観的表現力 ×お客様を裏切らない、というのは、 彼女の場合、表現力ではなく、歌い方で、 すなわち、「夏のお嬢さん」なんかを歌うときには、 できる限り当時の感じを崩さずに歌う、ということなんですね。 松田聖子の「秘密の花園」とか、岩崎宏美の「聖母たちのララバイ」なんかを与えられたら、 きっと彼女は困って途方にくれてしまうことでしょう。
(4) 自己主張型表現力 ×女優兼歌手に多いこの表現力だけど、 彼女の場合はアンサンブル重視の舞台女優型だから、これにはあてはまらず。 むしろ、アレンジが変わると、完全に歌唱そのものが変化してしまうタイプなので、 アレンジは大変重要。
(5) 思い入れ型表現力 「舞台女優型」歌手である彼女の、最大の特質。
ミュージカルでは役の世界にはいりこんで、 その思い(=メッセージ)を観客ひとりひとりに正確に伝える必要があります。 榊原郁恵の場合、そのための表現力は申し分なし。日本でもトップクラスでしょう。
リズム感 (6) ロック系への「ノリ」 彼女の場合、当然ノれるリズムなんだけれど、 いわゆる「ドス」の効かない性格と中・高音部の声質のために、 適性面からマイナス・ポイントがはいって、この評価に。
(7) ジャズ系への「ノリ」 『ピーター★パン』のオーソドックスな音楽は、4ビートが基本。 これは当然クリア。 「雨の鎮魂歌(レクイエム)」のようなクロス・オーバー音楽 (歌詞は演歌、アレンジはロック調、リズムはかなり早い16ビート) があっさり、しっかり歌えるのは、彼女の抜群のリズム感のおかげ。 並の歌手とは、このあたりがまったく違うのです。

以上のことから、歌謡歌手診断士としては、分析の結果、 榊原郁恵は、「声質」にウイークポイントはあるものの、 声の伸び・張り、表現力、リズム感のすべてを備え、 基礎項目もすべて満足した、抜群の歌唱力の持ち主、 と診断しています。
 
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1999.01.04作成 1999.05.20更新
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