歌唱力分析チャートfor 榊原郁恵
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| 榊原郁恵にフォーカスして解説
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基礎 |
(なし) |
音感 |
◎「絶対音感」が彼女にあるかどうかは知りませんが、
歌謡曲の歌唱に関しては、まったく問題ありませんね。 |
声域 |
◎ミュージカル『ピーター★パン』で、彼女が発揮した才能に、
「声域3オクターブ」(もっと広いかも)というのがあるんですね。
もちろん、ファルセット(裏声)の部分を含めてではあるのですが、
決して狭くはないと思うのです。 |
声量 |
◎彼女が、某バラエティー番組でやっていた「私バカよね おバカさんよね ゲーム」。
何のことはない、細川たかしの大ヒット曲「心のこり」の出だしのこのフレーズを歌い、
最後の「ね」の音を息を切らせずにどこまで引っ張れるか、というもの。
でも、これに関して彼女は敵なし。
私が見たのは、城之内早苗(あのおニャン子出身の演歌歌手ね)との対戦だったんだけど、
城之内早苗が二十数秒(これでも大したものです)でギブアップしたのに対し、
榊原郁恵は四十秒以上も引っ張りつづけ、まわりをあきれさせたのでした。
問題は、彼女の声量を生かせる曲が作りにくい、ということのようです。
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発声 |
◎ミュージカル『ピーター★パン』で、
今は亡き内藤法美先生(=故・越路吹雪さんのダンナ)に鍛えられ、
彼の太鼓判が押された発声については、もはや文句なし。 |
発音 |
◎これについても内藤法美先生が、
「彼女は演劇志望だったから、まず歌詞の意味をきちんと考える」
とおっしゃっている通り、本人のこだわりの部分であり、
まったく問題なし。 |
基盤 |
(1) |
声質 |
×「歌手・榊原郁恵」最大のウイークポイント。
かつての「クイズ ドレミファドン!」の毎週のチャンピオンが、
海外旅行をかけて挑戦する「声当てクイズ」。
たいていは歌手のアルバムから、
他人の曲を歌っているところを聞かせて、歌手名を当てるのだが、
榊原郁恵のライブ・アルバム(一応3枚出てます)からの出題で、当てられたためしがない。
また、ものまねも非常にされにくい。
まともに榊原郁恵のものまねをしたのは、松本明子ぐらいだろうか。
こんなところからも、
彼女の声質が「すぐに榊原郁恵とわかる」質のものではないことは明らかであろう。
ちなみに、彼女の声域を三つ(低音部、中音部、高音部)に分け、
それぞれの声質を細かく分析すると、以下の通りとなる。
- 低音部 : どちらかといえば男性的な「太い」声。
ナレーションさせるとわかるが、全然キャピキャピ感のない、落ち着いた声です。
- 中音部 : まったく特徴なし。強いて言えば、ちょっと鼻にかかることぐらいか。
- 高音部 : 低音部とは逆に、非常に透明感の高い、きれいで女性的な声。
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(2) |
声の伸び・張り |
◎4年目あたりから、どんどんこの辺の能力が高まっていきました。
めったに歌う機会のない彼女ですが、たいていの曲は余裕をもってこなせます。
その努力はさすが。 |
表現力 |
(3) |
客観的表現力 |
×お客様を裏切らない、というのは、
彼女の場合、表現力ではなく、歌い方で、
すなわち、「夏のお嬢さん」なんかを歌うときには、
できる限り当時の感じを崩さずに歌う、ということなんですね。
松田聖子の「秘密の花園」とか、岩崎宏美の「聖母たちのララバイ」なんかを与えられたら、
きっと彼女は困って途方にくれてしまうことでしょう。 |
(4) |
自己主張型表現力 |
×女優兼歌手に多いこの表現力だけど、
彼女の場合はアンサンブル重視の舞台女優型だから、これにはあてはまらず。
むしろ、アレンジが変わると、完全に歌唱そのものが変化してしまうタイプなので、
アレンジは大変重要。 |
(5) |
思い入れ型表現力 |
◎「舞台女優型」歌手である彼女の、最大の特質。
ミュージカルでは役の世界にはいりこんで、
その思い(=メッセージ)を観客ひとりひとりに正確に伝える必要があります。
榊原郁恵の場合、そのための表現力は申し分なし。日本でもトップクラスでしょう。 |
リズム感 |
(6) |
ロック系への「ノリ」 |
△彼女の場合、当然ノれるリズムなんだけれど、
いわゆる「ドス」の効かない性格と中・高音部の声質のために、
適性面からマイナス・ポイントがはいって、この評価に。 |
(7) |
ジャズ系への「ノリ」 |
◎『ピーター★パン』のオーソドックスな音楽は、4ビートが基本。
これは当然クリア。
「雨の鎮魂歌(レクイエム)」のようなクロス・オーバー音楽
(歌詞は演歌、アレンジはロック調、リズムはかなり早い16ビート)
があっさり、しっかり歌えるのは、彼女の抜群のリズム感のおかげ。
並の歌手とは、このあたりがまったく違うのです。
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